はじめに

先月より噂されていました、Fanatecの新型フォーミュラステアリング ClubSport Formula V3 が発表されました。価格は日本で58,000円、直径は290mm、2.7インチのホワイトOLEDディスプレイを搭載し、各操作系にも改良が加えられています。
公式からは、このモデルを、従来からのフォーミュラホイールをさらに洗練させたものとされています。
ただ、第一印象としては「大きく変わった」というより、ぱっと見では「ほとんど変わっていない」と感じた人も多いのではないでしょうか。
実際、ボタン配置・形状どれを見てもV3はV2.5系の雰囲気をそのまま残しています。これは単に手抜きというより、もともとのデザイン完成度が高く、Fanatec自身もそこを大きく変えたくなかったのだと思います。
私自身、今のV2.5の形状とても気に入っていますし、人気を博したモデルだと思っています。
刷新するよりも、改良点を煮詰めて正常進化をさせたとの思いが伝わります。
ただ、変わっていないように見えることと、実際に進化していないことは別です。今回のV3は、見た目を大き変えずに、使い勝手を向上させてきたと思います。
ファナテックはこのデザインを「Fanatecを象徴するデザイン「模倣されても、超えられない存在。」」と言っています。
290mm化は単なる大型化ではない
今回の一番大きな変更点は、やはり270mm級から290mmへのサイズアップでしょう。
公式でも「よりワイドに。より優れた操作性を。」と説明しており、290mm化によって自然なドライビングポジションと、幅広いドライバーにとっての快適性を狙ったとしています。また、拡張された幅を活かして入力レイアウトのリーチや間隔も最適化したと案内しています。
この290mmという寸法には、いまの時代なりの意味があると思います。フォーミュラ系ステアリングは、時代によってかなり性格が変わってきました。かつてはコックピットの狭さや操作の鋭さを優先して、かなり小径化されたものも多く見られました。ですが近年は、実車側でもステアリングに多くの電子制御や表示機能が集約され、単に小さければいいという時代ではなくなっています。表示、操作子、握りやすさ、その全部をどう成立させるかが、より重要になってきています。
加えて、いまのシムレーシング環境ではダイレクトドライブベースの高トルク化も進んでいます。ホイール径が小さいほどシャープさは出しやすい一方、扱いとしては機敏になりすぎてしまい、しっかりしたトルク環境では、少し余裕のある径のほうが扱いやすいと言えます。
Boosted Mediaも、V3の290mm化によって旧270mm版より落ち着いた操作感になり、GT3のような車種でも扱いやすくなったと評価しています。
その意味で、290mmというサイズはかなり絶妙だったなと思います。
GT系では300〜320mm級も珍しくありませんが、そこまで行くと今度はGT用ステアリングと役割が重なってきます。逆に従来の270mmでは、フォーミュラらしさはあるものの、少し小さすぎる。フォーミュラ用としての性格は残しつつ、GT寄りにも少し広く使えるサイズとして、290mmは良いところの落としどころだと思います。
その一方 「間延び感」も
ただし、ここは良いことばかりではなく、元々完成されていたデザイン。
全体が20mmも横に伸びたわりに、目に見えて大きくなったのはディスプレイだけ。ボタンの数やスイッチ類の配置はすべて従来通りになっています。結果として、V2.5系にあった凝縮感が薄れ、何もない空間が増えたように見えてしまうのが正直な感想です。
公式は入力レイアウトを最適化したと説明していますが、物理的な操作点の総数が劇的に増えたわけではありません。スペック上は、フェイスボタン11個、7方向FunkySwitch×2、2方向モーメンタリースイッチ×2、12方向ロータリー×3、親指ロータリー×2という構成です。つまり、全体の思想は従来路線がそのまま維持されています。
なので、290mm化については素直に歓迎できる部分が大きい一方、見た目だけで見ると、何も変わってない!とも言えます。 ここまで見た目を変えずに「V3」を名乗らせるのは勇気がいったのではないでしょうか。
本当の進化は「操作感」
今回のV3では、見た目ではディスプレイ以外変わっていません。
しかし、V3を名乗るだけの操作系の中身がしっかり手直しされているようです。
公式も細かい改善をかなり強調しています。
- サム式ロータリーダイヤルは操作時の抵抗感が増し、プッシュ機能も搭載
- 中央のロータリースイッチが12段階切り替えスイッチに
- 2つ目のFunkySwitchが、以前のアナログスティックに取って代わる
特に親指ロータリーについては、eスポーツドライバーのフィードバックをもとに改良され、適度な抵抗感と明確なクリック感を持たせたと説明しています。さらに、押し込み機能まで統合されています。

V2.5系の親指ロータリーは、人によっては軽すぎて使いづらく、意図せずクリクリ動いてしまう感覚がありました。実際、自分もあまり活用しませんでした。ところがV3では、少なくとも公式の説明やBoosted Mediaの印象を見る限り、ようやく“ちゃんと使える操作子”になりそうです。これは見た目では伝わりにくいですが、実運用ではかなり価値のある進化です。
前面ロータリー3基化は、地味だが実用面でかなり大きいと思います。

V3で個人的に大きな変更と思うのが、前面の12方向ロータリーが3基になったことです。
見た目はほとんど変わっていませんが、3基あるロータリースイッチの中央は、もともとパドルの設定スイッチでした。
今のシムでは、TCやABSだけでなく、エンジンマップやブレーキバランス、あるいはゲームごとの各種調整など、レース中に触りたい項目が増えています。このステアリングセンターに従来よりあと1つ。TC、ABSに加えて、もう1つ常用したい機能を独立して割り当てられるのは、かなり実用性が高いはずです。
ディスプレイ大型化も、数字以上に意味がある

V3は2.7インチのホワイトOLEDディスプレイを搭載し、9個のRevLEDと6個のFlagLEDも備えています。公式によれば、インテリジェント・テレメトリモードで5種類の表示レイアウトを切り替えられ、Fanatecアプリからカスタマイズも可能です。
270mm級のコンパクトなホイールでは、情報を詰め込む余地に限界がありました。V3は290mm化に伴って、表示系に少し余裕を出せた。と見ることができます。
従来のディスプレイは、とりあえずついている。セッティング用にあれば便利。くらいのものでしたが、このディスプレイ大型化で、現代っぽいステアリングになりましたね。
かといって、どでかいディスプレイを配置するとコストも上がってしまうので、ちょうどいいバランスだと思います。
V2.5ユーザーは買い替えるべきか
結論として、Formula V3は見た目だけでは買い替え理由が微妙なホイールです。
ですが、細かく見ると、サイズ、表示、操作感、ロータリー類の実用性がしっかり改善されていて、V2.5系を長く使ってきた人ほど、その地味な進化の価値が分かるタイプの新型だと思います。
特に、
「V2.5は小さすぎる」
「親指ロータリーが使いにくかった」
「何でここがパドル設定のスイッチなんだ」
「もう少しディスプレイに表示がされたらな・・」
と感じていた人には、かなり刺さるはずです。
逆に、V2.5系の凝縮感やコンパクトさが好きだった人や今のサイズ感に満足していた人には、V3は少し評価が下がるかもしれませんが、個人的には「あり」ですね~。
まとめ
Fanatec Formula V3は、ぱっと見では大きく変わっていません。
ですが、進化していないのではなく、今の時代に必要な部分だけを改良した堅牢な進化だと思います。
290mm化は、フォーミュラ系としては大きすぎず、GT系ともかぶりすぎない絶妙なサイズです。
私もV2.5を使っていますが、ここは~・・・と思っていたところが改良されています。
買い替えるのにはちょっと悩んでしまうほど見た目が一緒ですが、機会が来たら、買い替えちゃうかな~~と感じました。
参考
ファナテック公式ページ



【コメント】 あなたのSimLifeの感想やアイデアもぜひ。