Fanatec Wheel Hubとは何か。Podium Hubとの違いと、今後のサードパーティーホイール市場を考える

コラム・考察ハードウェア

はじめに

Fanatecの特別イベントで発表された新製品の中でも、地味ながらかなり気になったのが Fanatec Wheel Hub です。

見た目だけなら、かなりシンプルな製品です。
価格も 99.95ドル / 日本20,000円 と、今回の発表の中ではそこまで派手な存在ではありません。

しかし、中身を見ていくと、この製品は単なる新しいハブというより、Fanatecのエコシステム戦略が少し変わってきたことを感じさせる製品にも見えます。

これまでは、Fanatecのベースを使うならステアリング側も純正中心、という印象が強くありました。
ところが今回のWheel Hubは、サードパーティー製ステアリングをFanatecベースで使いやすくするための専用製品として登場しました。

今回はこのFanatec Wheel Hubがどんな製品なのか、Podium Hubと何が違うのか、そして今後どんな意味を持つのかを考えてみます。


Fanatec Wheel Hubとは何か

まず、この製品の位置付けを整理しておきます。

Fanatec Wheel Hubは、Podium Hubの簡易版という説明がされています。
主な役割は、サードパーティー製ステアリングをFanatecのダイレクトドライブベースに接続し、FFBを有効にすることです。
ん? どういうこと? と思いますね。

簡単に言うと、ドライブが「ステアリングが付いたと思って動作しますよ、というためのハブ」に尽きます。

もっと簡単に言うと「ステアリングが付いているとごまかすシステムが付いたハブ」になります。

対応する取り付けパターンは 6×70mm6×50.8mm
サードパーティー製ホイールでよく使われる規格に対応しています。
Fanatec純正のステアリングシステムを広げる製品というより、すでにUSB接続の高級ステアリングを持っている人が、Fanatecベースでもちょっとだけ使いやすくするためのハブと言う位置づけになります。

大事なのは、このハブがステアリングホイールへの電源供給やデータ通信を行う製品ではないという点です。
ボタンやパドルなどの入力は、基本的にステアリングホイール側がUSBやbruetoothなどでPCへ直接つながることを前提としています。

ファナテック公式ページより抜粋

つまり、これは「なんもできないハブ」とも言えます。
あくまで、Fanatecベースに他社ホイールをつないでも、FFBがちゃんと出ますよ。といった製品です。


Podium Hubとの違い

この新Wheel Hubを語るうえで避けて通れないのが、Podium Hubとの違いです。

ここはかなり大きく違います。

Podium Hubは、Fanatecのモジュラー式ステアリングシステムの中核とも言える製品です。
ファナテック純正のパドルモジュール、ボタンクラスタ、Button Module Endurance やButton Module Rallyなどを組み合わせて、自分好みの構成を作っていくためのベースになります。

ファナテック公式ページから抜粋

実車ステアリングなどに、ファナのボタンを付けて遊べるようにしたい! といった目的の製品です。

一方、今回のWheel Hubはそういう方向ではありません。
Fanatec純正のボタンモジュールやパドルモジュールには対応せず、かなり割り切った仕様です。

  • Wheel Hub は、他社製ステアリングホイールをFanatecベースに取り付けるための接続金具
  • Podium Hub は、Fanatec流に他社ステアリングを作り上げるための中間部品

という違いになります。

だから、この2つは単純な上下関係ではありません。
どちらが上かではなく、何をしたいかで選ぶ製品と言えそうです。


価格は安いのか、高いのか

ファナの値付け、かなり興味の出てくるポイントになりそうです。

ドル価格だけを見ると、Fanatec Wheel Hubは 99.95ドル
この価格だけ見れば、Fanatecの説明どおり「比較的手頃な製品」と受け取りやすいです。

ただ、日本価格になると少し印象が変わります。
20,000円です。

ここで気になるのが、Podium Hubの日本価格が23,000円前後であることです。
差額はわずか 3,000円 しかありません。

そうなると、日本で見た場合は
「新しいWheel Hubは安い」
というより、
「Podium Hubとの価格差が小さい」
と感じる人も多いと思います。

しかも、今回のイベントではPodium Pedalsが 699.95ドルで105,000円 という、かなり頑張った日本価格に見えました。1ドル150円換算になるね。
それと比べると、Wheel Hubの 99.95ドルで20,000円 は、数字以上にかなり強気に感じられます。

もちろん、単純なドル円換算だけで価格は決まりません。
物流や構成、地域ごとの販売戦略もあるはずですが、日本では高くても売れる。と思われたのか、はたまた・・・。

日本価格で見る限り差はあまりありません。ここで見えてくるのは、この製品は“安いから選ぶ”ものではなく、“用途が合うから選ぶ”ものということです。


日本ではPodium Hubがあまり動かなかったのか?

ここからはあくまで個人的な考察です。

実際の販売数は公表されていないので断定はできません。
ただ、日本価格の置き方を見ると、少し想像したくなる部分があります。

米国価格では、新Wheel Hubは明らかに「安価な簡易版」という見え方です。
実際に動きとしては、ハブで信号を打ちとめるもの。ドライブにステアがつながってるよと思わせる部品です。
でも、日本では、Podium Hubとの差額がかなり小さい。

この価格差を見ると、もしかすると日本ではPodium Hubがそこまで大きく売れなかったのではないか、と少し考えてしまいます。
あるいは逆に、日本では

  • 他社ホイールを使ってでもFanatecのベースを活かしたい人は一定数いる
  • でもPodium Hubを中心に、純正モジュールを盛っていく人はそこまで多くない

そんな需要傾向があって、価格設定にもそれが反映されているのかもしれません。

もちろん、これはあくまで考察です。
ただ、こういう価格の置き方には、メーカーの販売戦略や市場の見え方が少し透けて見えることがあります。
後述する、取り付け対象にするステアリングを考えると一つの答えが出てきそうな気がします。

今回はまさに、その匂いを感じる製品でした。


実際、どんなステアリングに向いているのか

この新Wheel Hubに向いているのは、いわゆるUSB接続で自己完結しているサードパーティー製ステアリングです。

Fanatec公式が例として挙げているのは、Ascher Racing、BavarianSimTec、VPG Simあたり。となっています。
調べてみると、どれも、とっても高級なブランドです。10万以下なんてありません。2-30万しそうです。

実際に各社の製品を見てみると、かなり本格派で、価格帯も目が飛び出ます。
正直、「これを気軽に買う人は、もともとSimucubeのような上位環境が視野に入れている人たちでは?」と感じるレベルでした。

つまり、新しいWheel Hubは、Fanatecユーザーに向けた安価な拡張というより、
これまで他社の上位USBホイールに流れていた層を、Fanatecベース側に残すための製品
と見たほうが自然です。

日本の感覚でサードパーティー製ホイールというと、Cube Controlsあたりの名前を思い浮かべる人も多いと思います。
公式の認定パートナーではありませんが、日本では比較的名前を聞くブランドです。

そう考えると、この新Wheel Hubの役割はかなり明確です。
普通のFanatecユーザー向けというより、上位層を逃がさないためのハブ
そんな色合いが強いです。


それでも、この製品には大きな意味がある

とはいえ、このWheel Hubは単なる上位層向けの小物で終わらない可能性があります。

むしろ面白いのは、Fanatecがこういう製品を出したことで、今後サードパーティー側の動きも変わるかもしれないという点です。

これまでは、サードパーティー側からすると、Fanatecユーザー向けに製品を積極的に設計する意味はそこまで大きくなかったかもしれません。
Fanatecは純正志向が強く、使う側にも少し壁がありました。

でも、Fanatec自らが「サードパーティー製ホイールを歓迎します」
と言えるような製品を出したことで、話は少し変わってきます。

今後は、

  • Fanatec Wheel Hubで使いやすい寸法に合わせる
  • Fanatecベースとの組み合わせを意識した設計にする
  • “Fanatec DD対応” をアピールする

といった動きが、サードパーティー側に出てくる可能性があります。

つまりこの新Wheel Hubは、今ある高級USBホイールを使うためだけの製品ではなく、
今後Fanatecベース向けのサードパーティー市場を少し広げるきっかけ
になるかもしれません。

そう考えると、かなり面白い製品です。

とはいえ、今回のこの新ハブ。
ステアリングに電源を供給する仕組みも、信号を送受信する機構も持ちません。
サードパーティー製ホイールを使う場合は、物理的な取り付け規格だけでなく、なんらかで信号の伝達。USB接続しかり、Bluetoothしかり。電源配線の問題も出てきます。
ステアリングは回転するものですし、サードパーティの参入には、まだまだハードルは高そうな気がします。


まとめ

Fanatec Wheel Hubは、一見するとシンプルな新製品です。
ですが、その中身を見ると、かなり割り切った思想を持った製品でした。

これは、Podium Hubの代わりになる製品ではありません。
純正モジュールを使って自分好みに組み上げるためのものでもありません。
そうではなく、Fanatecベースを活かしながら、他社の高級USBホイールを使いたい人のための最小構成ハブです。

価格だけを見ると、日本ではPodium Hubとの差額が小さく、単純に“安い新製品”とは言いにくい部分があります。
ただ、その背景には地域ごとの販売戦略や需要傾向も見え隠れしているように感じます。

そして何より、この製品の意味は単体の価格や機能だけではありません。
Fanatecがこうした製品を出したことで、今後はサードパーティー側もFanatecユーザーを意識した製品を作ってくる可能性があります。

そうなれば、このWheel Hubは単なる周辺機器ではなく、
Fanatecエコシステムを“外に向かって開く”ための象徴的な製品
として記憶されるかもしれません。

地味だけど、かなり意味のある新製品。
個人的には、そんなふうに感じました。

参考

ファナテック公式ページ

Fanatec Wheel Hub
The Fanatec Wheel Hub is a simplified version of the Podium Hub, designed primarily for th…

【注意点】公式ページより抜粋

本製品はどのようなお客様に適していますか?
本製品(または Podium Hub や ClubSport Universal Hub などの Fanatec Hub)は、Fanatec ベースでサードパーティ製ステアリングホイールをご使用になる場合に必要です。なお、Fanatec純正の一体型ステアリングホイールをご使用の場合は、Hubは必要ありません。

USBパススルー機能には対応していますか?
いいえ、本製品はUSBパススルー機能には対応しておりません。本製品は、Fanatec ベースにステアリングホイールが装着されたことを認識させ、フォースフィードバックを有効にするためのものです。ホイールへのデータ通信や電源供給は行いません。USB接続のホイールをご使用の場合は、別途PCへ直接接続してください。

なぜ本製品はPlayStationに対応していないのですか?ベース側で互換性が決まるのではありませんか?
本製品は、PlayStationライセンス対応のベースと組み合わせた場合でも動作しません。これは、本製品がボタン入力に対応していないためです。また、PSボタンを搭載していないため、本製品はPlayStation上で有効なコントローラーとして認識されません。

【コメント】 あなたのSimLifeの感想やアイデアもぜひ。

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