■ Fanatecの「Recommended Settings」とPMRの話題から考察

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FanatecのRecommended SettingsとPMRの事例
コラム・考察

先ほど、FanatecがPMRのプロファイルを作らないという記事を目にして、ちょっと調べて考察しました。

― 推奨設定の必要性とタイトルごとの差 ―

Fanatecには、多くのレースシム向けに「Recommended Settings(推奨設定)」が公開されています。
Fanatecフォーラムを中心に、各タイトルの“基準値”が示されており、
プレイヤーはその値を出発点として、自分好みに調整していくスタイルが広く定着しています。

ところが先日、Project Motor Racing(PMR)に関して、Fanatecコミュニティ内で少し話題になる出来事があったようです。

長年、Fanatecのプロファイルを無償で提供してきた Maurice Böschen 氏が、
「PMRのプロファイルを作る予定はない」
とフォーラム内で発言したのです。

私も早とちりしてたんですが、まず最初に大事な点として、
これは「Fanatec公式が推奨設定を作らない」と言ったわけではありません。
あくまで、コミュニティで最も活発にプロファイル提供を行っている Maurice 氏の、
“個人の発言” です。


■ Maurice Böschen 氏という存在

Maurice 氏はFanatec公式スタッフではありませんが、Fanatecユーザーなら
誰もが一度はお世話になるような、コミュニティの第一人者 と言ってよい存在です。

CSL DD、CS DD、Podium、そして私が使っている CS DD+ に至るまで、
タイトル別だけでなく、車種別の細かいプロファイルまで、長年提供し続けてくれています。
私も、彼の作成したCS DD+のプロファイルを参考に、色々設定させてもらってます。

そのため、彼の発言は“事実上の標準”として扱われやすく、
公式の推奨設定と同じくらい影響力を持っているように思います。


■ Fanatecが推奨設定を出すソフトと、出しにくいソフト

Fanatecには、明確に推奨設定が存在するタイトルがあります。
Fanatec Settingsとして、公式が発表している設定例です。

  • Assetto Corsa
  • Assetto Corsa Competizione
  • F1シリーズ
  • RaceRoom
  • rFactor 2
  • Forza Motorsport など

これらは共通して、

  • 物理モデルが安定している
  • 車両の性質が大きくブレない
  • 多くのユーザーが似た方向性の好みを持つ

という特性があります。

一方で、推奨設定が出しにくい、あるいは未公開のタイトルも存在します。

  • LMU(Le Mans Ultimate)
  • Rennsport
  • EA SPORTS WRC
  • PMR
  • インディー系のタイトルなど

これらには、明確な共通点があります。


■ “推奨設定を出しにくいタイトル” の構造的な特徴

① 車種バリエーションが広い

EA WRC のように、Gr.Bから現代WRCまで同居するタイトルでは、
単一の推奨設定が成立しにくいのではと考えられます。

② 路面コンディションの変化が激しい

グラベル・スノー・ターマックが混在するラリー系は、
どの路面を基準にするかでFFBの最適値が大きく変わります。

③ 物理エンジンやFFB出力特性が安定していない

PMR、Rennsport、LMUのように、まだ発展途上の物理エンジンでは
“基準値”を作っても将来的に変わっていく可能性があります。
LMUは私も色々設定変えたり、YouTubeの設定を見たり入れたりしましたが、
一部の設定方向ではドライブが破綻状態になる症状が出たりしてました。

④ ユーザーの好み差が大きい

特にラリー系は、
「軽くて細かな情報が欲しい」
「重くて粘るFFBが好き」
など、方向性が人によって大きく違います。

こうした理由が重なると、
Fanatecとして“万人向けの推奨値”を出すことが非常に難しくなるんだろうな~と推測します。


■ PMRで Maurice 氏がプロファイルを作らないと言った理由

Maurice 氏の発言が、今だけなのか将来までなのかわかりませんが、今回の PMRのケースは、上記のケースに当てはまることが多いのではと感じます。

とはいえ、いまだ公式推奨設定のないLMUの設定も作ってこられた同氏ですので、挙動の方向性が決まってきたり、やPMRの人気が上がってユーザーが増えてくれば、まだ可能性はあるかなと思ってます。

ただ、今回の発言は、Fanatecの“公式判断”ではなく、
Maurice 氏が「今の段階では無理」と判断した、ということだと思います。


■ Recommended Settingsについて考える。

ハンコンは、たくさんの設定項目があり、体感度も変わってきます。
初心者にとっては、何を頼りに設定をしていけばいいのか見当もつかないということになっていきます。

新作タイトルに限らず共通して言えることですが、
初心者は「まず何を触れば良いのか」が分からず、
FFBの初期体験が悪いと、ソフトから離れてしまう可能性があります。

これはハンコンメーカー側にも、ゲームタイトル側にも、そしてユーザー側にも
デメリットしかありません。

好みによっても変わってくる設定情報。
実際に公式推奨設定として発表することが難しいというところもあるかと思いますが、

完璧な推奨設定としてではなく、初心者向けの“最低限のベースライン設定”を公式として公開してほしい。

と思います。

妥協点でもいいし、「現段階では。」と、銘打ってもいいので、初心者が安心してベース値として入れられる設定があれば、あとは好みで変えてね。としてもいいと思います。


■ Fanatecへの希望的想い。

Corsairに経営主体が変わり、HPもリニューアルされました。

フォーラムも若干変わりましたが、古い体系のまま引き継がれています。

現在の「Recommended Settings」は、ゲームタイトルごとのフォーラムの中の①トピックにて公開されています。
ここを探して設定してね、というのは初心者にはやっぱり難しい気がします。

Fanalab , FanatecAPP で、Recommended 設定を引っ張ってこれるようになりました。
便利になった反面、Recommended がないソフトは、いきなり途方にくれます。

フォーラムの奥深くではなく、
公式の設定ページとしてきちんと整備・整理されていれば、
Fanatecユーザー全員にとってメリットになるし、
結果としてFanatecのブランド価値も高まると思います。

Fanatecなら安心して使える。置いてけぼりにされない。そんな思いを新規ユーザーに与えてほしいなと思います。


■ おわりに

今回のPMRの話題は、「誰が悪い」というものではなく、
タイトル側の事情もあり、Fanatec側の事情もあり、コミュニティ側の事情もある。

なんでもコラムネタにしたい私にとっては、降ってわいてきたトピック^^;
“推奨設定という文化の重要性”
“初心者にとっての入口のわかりやすさ”
を改めて考えるきっかけになりました。

今後も、ファナテックのいちファンとして、レースシムのいちファンとして引き続き見ていきたいと思います。

【コメント】 あなたのSimLifeの感想やアイデアもぜひ。

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